南海汐見橋線

 気温も低く、風も強く散歩もできない11月のある日、今まで気になりながらも乗ったことのない電車に乗りに行きました。南海汐見橋線です。桜川のそばの汐見橋から芦原町、木津川、津守、西天下茶屋、岸ノ里玉出までの単線の6駅で、全線で240円でした。使われている車両は2両編成のワンマンカーで、この列車が30分おきに往復します。

 午後2時頃に私が乗車したときには、汐見橋では10人余りの乗客でした。汐見橋はもともと高野線の終点で、将来には大阪駅方面への延伸も考えられていたとのことです。岸ノ里玉出では高野線南海本線と平行してホームはありますが、今ではこのどちらにも繋がっていません。木津川は一日の乗降客が200名ほどとも言われます。西天下茶屋からは乗客が増えました。木津川と西天下茶屋はレトロな駅舎がそのまま残っていて、人気の写真ポイントとなっています。津守は公立高校の正門前です。その学校の生徒でしょうか、数人の生徒が岸ノ里玉出行きに乗り込んできましたが、終点の岸ノ里玉出で降りず、そのまま残っていました。汐見橋か芦原町まで戻るだろうかと思いながら、寒さや暑さが厳しい折にはそのような利用方法も可能なのだなと思いました。大都会ではちょっと考えられない利用方法にも思えましたが、世知辛い世の中で、ゆとりが感じられる光景でした。大都会の中に残っているローカル線の面白さがたっぷりでした。