高津原橋


 

 

 

 



長堀通りの松屋町交差点のすぐ東に陸橋があります。交差点によくある、車を優先して歩行者に階段を上下する負担を押しつける陸橋ではありません。車も人も自転車も渡れる陸橋です。

 昭和30年ごろ、私の家から心斎橋に出るには、今の長堀通りを走る市電を利用しました。今の「松屋町交差点」は当時「末吉橋交差点」と言われていました。そのすぐ東に陸橋があったのです。川でもない道路の上に橋が架かっていることに子ども心に不思議な思いをしていました。

 長い間、疑問はそのままになっていたのですが、大人になってからその近辺で育った人と知り合い、その橋は「高津原橋」という名前であること、さらに別のひとからは、地元の子どもは「空中橋」と呼んでいたと教えて貰いました。

 この陸橋は、1910年、大阪市電が末吉橋から玉造まで東に延伸されるときに設置されました。末吉橋から東へは上町台地への厳しい登りになるので、傾斜を緩くするため、松屋町筋から東方向への道路改修が行われ、松屋町筋の一本東の筋である骨屋町筋あたりが最も大きく掘りさげられました。その結果、骨屋町筋は長堀通りを境に南北に途切れることとなるので、それを避けるために高津原橋がかけられたとのことです。

 2024年1月の大阪女子マラソンの22キロ附近がこの高津原橋の真下です。日本記録を更新した前田選手が上町台地の下りを利用してスパートをかけた様子もみられるので、写真を添付しました。